こんにちは、宅地建物取引士の宅男です。

さて、ここを見ているあなたは相続などで必要がない不動産を取得した、または取得する予定があるのではないでしょうか。相続したその不動産をどうしますか?

とりあえず、そのまま空き家で所有しておこうと考えているかもしれません。しかし空き家を所有していることは非常にリスクが高いです。

将来的に空き家が増えすぎたために不動産が売却できなくなってしまう可能性があります。また、損害賠償責任を負ってしまう可能性もあります。

そもそも、なぜ空き家が増えているのでしょうか?また、空き家が増え続けることによる問題は何があるのか?

ここでは、空き家に関するあなたの疑問にお答えします。

1、空き家の種類について

空き家にも種類があります。空き家の種類は下記の4種類です。

  1. 二次的住宅(常時使用していない空き家、別荘など)
  2. 賃貸用住宅(貸し出し中の空き家)
  3. 売却用住宅(売却中の空き家)
  4. その他(上記3種類以外の空き家)

よくテレビで問題として取り上げられている空き家はその他の空き家です。二次的住宅、賃貸用住宅、売却用住宅は定期的に使用されています。

しかし、その他の空き家は定期的に使用されることがありません。そのため、定期的な管理が行われずに問題がある空き家となってしまうのです。

2、空き家が増加している理由について

総務省が調査を5年に1回行っています。近年では平成25年に「住宅・土地統計調査」を行っていますので結果を見てみましょう。

グラフより年々空き家が増えていることがわかります。ではなぜ空き家が増え続けているのでしょうか?

空き家が増え続けている理由は高齢化社会です。空き家になるまでの流れは以下のとおりです。

  1. 所有者の高齢化に伴い老人ホームへ入居する。
  2. 所有者が亡くなり相続人が相続する。
  3. 相続人が遠方に居住しており必要がないためしばらくそのまま所有しておく。
  4. 管理が行われないために問題がある空き家となってしまう。

高齢化社会に伴い、上記の流れのようなケースが増えています。この流れが改善されない限り今後も空き家は増え続けるでしょう。

3、空き家が増え続けたときの問題について

空き家が増え続けるとどのような問題が起こることが考えられるのでしょうか?

3-1、地域の住民がいなくなる

上記の写真のような空き家があった際にどのような問題を考えますか?

  • 放火
  • 倒壊
  • 景観の悪化
  • 治安の悪化
  • ゴミの不法投棄 など

このような問題を抱えた空き家が隣接しているとしたらどのように考えますか?居住したくないと考える人が多いのではないでしょうか。

居住したくないために引っ越す人もいるでしょう。しかし、引っ越しを行なって不動産を売却しようとしても購入希望者はなかなか現れないでしょう。

なぜならば、隣接している空き家が問題があるため住みたいと思う人がいないのです。次第に売りに出していた不動産も管理が行き届かずに問題のある空き家のようになっていきます。

問題のある空き家が二戸になってしまうと、さらに近隣の住宅も引っ越したいと考えるようになるでしょう。

このように、空き家が空き家を増やしてしまう連鎖を引き起こしてしまいます。その結果、地域の住民がいなくなるのです。

3-2、財政が破綻する

地域の住民がいなくことにより、自治体の税収は大幅に減ってしまいます。その結果、財政破綻してしまう自治体も出てきます。

空き家率と財政破綻の密接な関係について「空き家率30%を超えると、自治体は財政破綻の可能性が高まる」という発言を行っている教授がいます。

2007年に夕張市が財政破綻してしまったのは記憶に残っている人も多いでしょう。このときの夕張市の空室率は33%でした。また、2013年に財政破綻したアメリカのミシガン州デトロイト市の空室率は29.3%でした。

このように、空き家率の増加により2040年までに現在約1,800の市区町村の内896の地方自治体が消滅の危機に陥ってしまうのではないかとも言われています。

3-3、機会費用の問題

機会費用とは、最善の方法をとらなかったことで、失われた利益のことです。チャンスロスとも言われます。

もし、空き家が問題になる前に不動産の売買が行われていたケースを考えてみましょう。普通に居住者が暮らし、税収が入ってくるために地方の財政が破綻することもないでしょう。

また、もしかしたらスーパーなどの施設が建てられて地域の活性化につながったかもしれません。空き家が増え続けることにより、本来得ることができたであろう経済効果を次々に損失しているのです。

4、空き家を所有し続けるデメリットについて

空き家には常に倒壊と火災の危険性があります。もし、事故が起きた場合には損害賠償責任を空き家の所有者が負わなければなりません。

4-1、倒壊による損害賠償責任

空き家は定期的に管理が行われていないために一般的な建物と比べて耐久性が劣ります。倒壊の危険性が常にあるのです。特に地震、台風、積雪時は建物が耐えることができずその危険性が大きくなります。

もし、倒壊により通行人に怪我をさせてしまった、または、死亡させてしまった場合には民法第717条が適用されます。民法第717条には建物の所有者には管理責任がある旨の明記があります。

そのため、空き家の所有者が数億円の損害賠償責任を負ってしまう可能性もあるのです。

4-2、火災による損害賠償責任

空き家は放火の対象となりやすいです。空き家は人の目がありません。また、燃えやすい枯草、ゴミ、紙ゴミなどが散乱していることが多いため、不審者による放火の可能性が高いのです。

また、空き家がたまり場となってしまった場合には、たばこの火の不始末による火災の可能性もあります。火災が起きた場合には、近隣に被害を与えてしまうことでしょう。

建物の火災の損害賠償責任について、失火責任法では重過失でなければ所有者は損害賠償責任を問われないと定められています。そのため、建物の所有者は基本的には損害賠償責任を負うことはありません。

しかし、空き家の場合には火災の可能性がありながら防止しなかったことが重過失と認定される可能性があります。もし、重過失と認定された場合には、空き家の所有者は損害賠償責任を負うこととなります。

5、空き家を所有し続けるメリットについて

結論から言うと、メリットは無くなりました。

平成27年5月26日以前は空き家を所有することにメリットはありました。固定資産税の優遇措置を受けることができたのです。土地の上に建物が建っているだけで土地の固定資産税が最大で6分の1となっていました。

そのため、とりあえず空き家をそのまま所有している人も多かったのです。しかし、あまりにもそのような人が多くなってしまい空き家の増加が社会問題となってしまいました。

政府は空き家の増加を防ぐために、平成27年5月26日に「空家対策特別措置法(空家等対策の推進に関する特別措置法)」を施行したのです。

この法律の施行により、「特定空き家(問題のある空き家)」と認定されてしまうと固定資産税の優遇措置を受けることができなくなったのです。

優遇措置を受けることができなくなったため、固定資産税を今までの6倍を支払わなければならなくなりました。もはや、空き家をそのまま所有しておくことは何もメリットがなくなったのです。

空き家を所有することのまとめ

空き家は増え続けており、社会問題となっています。

この問題を解決するために政府は「空家対策特別措置法」を施行しました。この法律の施行により固定資産税の優遇措置というメリットはなくなりました。

しかし、倒壊や火災による損害賠償を負うかもしれないというデメリットは残ったままです。

そのため、もし相続などにより空き家を取得したときには直ぐに売却を行うようにしましょう。空き家を売却することにより新しい不動産として活用され、機会費用の問題もなくなるでしょう。