こんにちは、宅地建物取引士の宅男です。

さて、あなたは所有している空き家をどうするか悩んでいないですか?空き家をそのまま所有していた場合のメリットデメリットを考えるとデメリットが大きいです。

では、空き家を売却するとどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか?ここでは、空き家を売却した場合に考えられるメリット、デメリットについて説明します。

また、売却ではなく賃貸という選択肢についても説明します。

1、空き家を売却するメリット

空き家を売却した際に考えられるメリットは3つです。

1-1、損害賠償責任を負う心配がなくなる

空き家を所有している上で、一番心配すべきことが倒壊などにより近隣に被害を与える可能性があることです。もし、被害を与えた場合には損害賠償責任を負わなければならないのです。

空き家は定期的に使用されていないために劣化が早く、耐久性に劣ります。そのため、地震や台風などが起きた際には空き家が倒壊していないか気になってしまうこともあるでしょう。

空き家を売却すると所有者が変更となるために、損害賠償責任を負う必要がなくなります。そのため、精神的に落ち着いて生活することができるようになるのです。

1-2、固定資産税を支払わなくてよい

空き家であろうと不動産を所有している限り毎年固定資産税の支払い義務が発生します。固定資産税の支払い義務は不動産の所有者に発生します。

そのため、空き家を売却して所有者が変更した場合には、空き家の新所有者に固定資産税の支払い義務が発生します。空き家の売却後は固定資産税を支払わなくてよいのです。

1-3、相続人で分割しやすい

所有者が亡くなり空き家を相続する際に、相続人が複数いると空き家の相続の方法で揉めることがあります。例えば、子供と配偶者で空き家の2分の1ずつを相続したとします。

この場合、空き家の半分を子供が所有し、配偶者が半分を所有することとなります。しかし、空き家の半分ずつを使用すると考えても実用性に欠けてしまいます。また、半分だけ勝手に売却することもできません。そのため、空き家は相続で揉めやすいのです。

しかし、空き家を売却し現金に代えた場合、売却代金の半分を子供が相続し、配偶者が半分を相続すると分けやすくなります。そのため、相続人同士で揉めることがなくなるのです。

2、空き家を売却するデメリット

空き家を売却した場合に考えられるデメリットは3つあります。

2-1、空き家を使用できなくなる

空き家を売却することにより所有者が変更となります。そのため、空き家の旧所有者は空き家を使用できなくなります。

もし、空き家を別荘に使用したり将来的に居住したいと考えていても使用できなくなってしまうのです。しかし、空き家は定期的に管理しなければ劣化します。その結果、別荘として使用することも将来的に居住することもできなくなるでしょう。

そのため、定期的にかかる費用のことも考えて、売却したときとどちらが費用がかからないのか検討する必要があります。

2-2、様々な費用が発生する

空き家を売却した際には、様々な費用が発生します。

  • 仲介手数料
  • 登記費用
  • 司法書士報酬
  • 譲渡所得税  など

これらの費用を支払ってしまうと、空き家を売却してもさほど利益が出ないことも多いです。

また、空き家を解体して更地にして売却しなければ買主が現れないこともあります。このときには、解体費がさらにかかってしまうでしょう。

2-3、住宅ローンを完済しなければならない

空き家の住宅ローンの残債が残っている場合には、住宅ローンを完済しなければ空き家を売却できません。なぜならば、金融機関の抵当権が設定されているためです。

抵当権とは、住宅ローンの返済が行われなかったときに空き家を強制的に売却できる権利です。そのため、住宅ローンが完済できなければ基本的には空き家を売却することはできないのです。

住宅ローンの残債は空き家の売却金額で返済します。しかし、売却金額で住宅ローンが完済できない場合には、自己資金より住宅ローン完済のための持ち出しの資金が必要となってしまうのです。

3、空き家を賃貸として貸し出す

空き家の活用方法としては、売却だけでなく賃貸で貸し出すという方法もあります。

賃貸として貸し出すことにより、毎月安定した収入を見込めるようになるのです。また、売却と異なり賃貸として貸し出した場合には所有権の変更はありません。そのため、将来的に空き家に居住することもできます。

しかし、空き家を賃貸として貸し出しには人が住むことができるようにリフォームを行わなければなりません。リフォームのための初期費用として数百万円かかってしまうことも珍しくありません。

また、賃貸中にも以下のような費用が定期的に発生します。

  • 建物管理費
  • 建物修繕費
  • 原状回復費用
  • 固定資産税 など

そして、もし借り手がいなければ家賃収入が定期的に入ってくることもありません。それにも、関わらず費用だけ発生し続けてしまうのです。

空き家を賃貸として貸し出しことは、家賃収入というメリットがあります。しかし、様々な費用がかかるというデメリットもあるのです。

そのため、必ず空き家を賃貸として貸し出す前に地域の賃貸の需要や相場などを確認し、空き家を売却した場合との比較を行う必要があるのです。

4、空き家を所有し続けた場合のデメリット

では、空き家の売却も行わず、賃貸として貸し出すこともなく所有し続けた場合にはどのようなデメリットが考えられるのでしょうか?

4-1、固定資産税を支払い続けなければならない

「1-2、固定資産税を支払わなくてよい」で説明したとおり空き家の売却により、固定資産税の支払い義務がなくなります。

しかし、空き家を売却しなければ固定資産税の支払い義務がなくなることもありません。そのため、空き家を売却するまで固定資産税を支払い続けなければならないのです。

また、平成27年5月26日に「空き家対策特別措置法」が施行されました。この法律の施工により管理が行き届いていない空き家である「特定空家等」と認定されると固定資産税が最大で6倍になるようになりました。

そのため、もし所有している空き家が特定空家等に認定されてしまうと、毎年高額な固定資産税の支払い義務が発生してしまうこともあるのです。

4-2、損害賠償責任が発生し続ける

「1-1、損害賠償責任を負う心配がなくなる」で説明したように空き家を所有し続ける限り、空き家の倒壊による損害賠償責任を負わなければなりません。

また、損害賠償責任の範囲は空き家の倒壊だけではありません。空き家は放火の対象となりやすく、火災による損害賠償責任を負う可能性もあります。空き家の敷地内に木がある場合には倒木による損害賠償責任を負う可能性もあります。

このように、空き家を所有し続ける限り様々な問題が発生する可能性があります。

もし、問題が発生した場合には損害賠償請求により、数千万円〜数億円の高額な賠償金を支払わなければならない可能性すらあるのです。

5、空き家を早く売却すべき理由

空き家の売却を考えたとき、できるだけ早く売却すべき理由が2つあります。

5-1、空き家の資産価値の減少のため

基本的には不動産は時間とともに資産価値が減少します。特に空き家の場合には、定期的に管理が行われにくいために資産価値の減少が早いです。

もし、現在1,000万円で売却できる空き家を所有していたとした場合でも、資産価値の減少により数年後には価値が付かずに売却できなくなってしまう可能性もあります。

そのため、資産価値が減少する前に空き家を売却しなければならないのです。

5-2、譲渡所得の3,000万円控除を利用するため

空き家を売却して利益が発生した場合には譲渡所得税を支払わなければなりません。

譲渡所得税は以下の計算式で求められます。

譲渡所得税={譲渡収入金額-(取得費用+譲渡費用)}×譲渡所得税率

譲渡所得:空き家の売却金額
所得費用:空き家の購入のためにかかった金額、または譲渡費用×5%
譲渡費用:空き家の売却のためにかかった金額
譲渡所得税率:所有期間が5年以下の場合39.63%、所有期間が5年超の場合20.315%

もし、空き家を相続し所有することとなった場合には以下の条件に該当することにより「譲渡所得の3,000万円控除」が利用できます。

  • 相続以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却を行う。
  • 平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に売却を行う。
  • 昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震基準の住宅であること。
  • マンションなどの区分所有建物ではない戸建てであること。
  • 相続開始まで自宅として使用されており、亡くなった人以外に、住んでいる人がいないこと。
  • 譲渡収入金額が1億円を超えていないこと。
  • 相続時から売却時点まで、居住、貸付け、事業などの使用歴がない空家であること。
  • 売却時に、所定の耐震基準に適合した状態にリフォームしてあること。または、更地にしてあること。

譲渡所得の3,000万円控除を使用するための条件の中に、一定期間内に空き家を売却しなければならないという条件があります。そのため、空き家の売却を急がなければならないのです。

譲渡所得の3,000万円控除を使用したときの譲渡所得税は以下の計算式で求められます。
譲渡所得税={譲渡収入金額-(取得費用+譲渡費用)-3,000万円}×譲渡所得税率

譲渡所得の3,000万円控除を利用することにより譲渡所得が3,000万円以下であれば譲渡所得税を支払わなくて済むようになるのです。

その結果、所有期間が5年以下の場合には最大で約120万円の譲渡所得税が免除されるようになります。

空き家を売却するメリットデメリットのまとめ

空き家の売却に様々な費用がかかるというデメリットがあります。しかし、空き家を所有していても固定資産税や空き家の管理のための費用が必要となります。

また、空き家の売却のために住宅ローンの完済も必要となりますが、いずれにしろ住宅ローンは毎月支払い続けなければならないのです。

したがって、空き家を売却した場合に考えられるメリットデメリットを比較するとデメリットの方が大きいです。もし、将来的に空き家を使用する予定がないならば売却した方がよいでしょう。

また、空き家の売却を決めたならば急いで売却するようにしましょう。急いで売却することにより、空き家の資産価値の減少を少なくすることができます。

急いで売却するまでことにより、譲渡所得の3,000万円控除を使用できれば最大で約120万円も得をするケースもあります。

空き家は売却だけでなく、賃貸として貸し出すという選択肢もあります。しかし、リフォーム代など高額な初期費用がかかります。

また、賃貸中も修繕費や固定資産税などの費用が定期的に必要となります。

そのため、事前に空き家を売却した場合と賃貸として貸し出した場合とのシュミレーションを行い、売却と賃貸のどちらがよいのか検討する必要があるでしょう。