こんにちは、宅地建物取引士の宅男です。

さて、あなたは平成25年5月に施行された「空き家対策特別措置法」を知っているでしょうか?この法律の施行により空き家の解体の行政代執行が可能になりました。

行政が空き家を強制的に解体し、所有者が取り押さえられる映像がニュースで取り上げられることもありました。

この映像を見て他人ごとと思ったかもしれません。しかし、空き家を所有しているにも関わらず、定期的な空き家の管理を怠っているならば、あなたの空き家も行政代執行の対象となるかもしれません。

ここでは、そのような事態にならないために行政代執行について説明します。

1、行政代執行とは?

空き家対策特別措置法の施行により、特定空き家を行政が強制的に解体できるようになりました。これが、行政代執行です。行政が所有の「代わり」に解体を行うのです。

代わりに解体を行うだけですから、解体後の土地を取られるということはありません。しかし、解体にかかった工事費用は所有者に請求されますので、支払わなければなりません。

全ての空き家が行政代執行の対象となるわけではありません。特定空き家と認定された空き家だけが、行政代執行の対象となるのです。

特定空き家に認定される基準は以下のようになっています。

  • 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

つまり、空き家として放置することにより被害が発生する恐れがあるときに、特定空き家と認定されるのです。

しかし、空き家を放置したからといってすぐに特定空き家と認定されるわけではありません。特定空き家に認定され、解体されるまでにも流れがあります。

2、行政代執行が実施されるまでの流れ

2-1、調査

まずは、被害が発生する可能性がある空き家かどうかを調査する権限が行政に与えられます。調査の結果、被害が発生する可能性があると判断された場合には、次の段階に移ります。

尚、調査のための行政の立ち入りを拒否したり妨害することはできません。もし、そのような行為を行った場合には罰金が発生することもあります。

2-2、助言・指導

調査の結果、被害が発生する恐れがあっても行政代執行は直ぐには行われません。まずは、「空き家の修繕や解体を行って下さい」という助言・指導が行政より所有者へ行われます。

助言より指導の方が重い行政処分となっており、「必ず空き家の修繕や解体を行って下さい」といった指示になります。

2-3、勧告

助言・指導に従わなかった場合、書面にて勧告が行われます。勧告では改善の期間が定められます。

尚、勧告の時点で特定空き家と認定されるようになります。特定空き家と認定されることにより固定資産税の住宅用地の特例が適用されなくなります。

固定資産税の住宅用地の特例とは、住宅やアパート等の敷地として利用されている土地(住宅用地)について固定資産税を最大で6分の1に軽減する特例措置です。

つまり、勧告を行われることにより支払うべき土地の固定資産税が最大で今までの6倍となってしまうのです。

2-4、命令

勧告に従わなかった場合、行政処分でもっと厳しい通達である命令が行われます。

もし、解体や修繕を行うことができない理由がある場合には公の場で理由を言う機会を持つことができます。しかし、理由がない場合には最終猶予期限が与えられることとなります。

2-5、行政代執行

命令の猶予期限内に解体や修繕が行われなかった場合、行政代執行が行われることとなります。

尚、解体や修繕は猶予期限内に「完了」している必要があります。

以上の流れが行政代執行までの流れとなります。行政代執行後はもちろん空き家はありません。そのため、空き家を使用することも、売却することもできなくなります。

3、行政代執行の費用

行政代執行によって行われた解体費用は「1、行政代執行とは?」で説明したように所有者負担となります。物件によって行政代執行によって請求される金額は異なりますが、今までの行政代執行ではどのくらいの費用がかかったのでしょうか?

  • 2015年7月、長崎県新上五島町
    木造2階建・解体費約70万円
  • 2015年10月、神奈川県横須賀市
    木造一戸建・解体費約150万円
  • 2016年3月、東京都葛飾区
    木造2戸建・解体費約180万円
  • 2016年3月、兵庫県明石市
    解体費約100万円

以上のように、行政代執行によって請求される解体費用はとても高額です。では、行政代執行が行われないためにはどうすればよいのでしょうか?

4、行政代執行が行われないための対策

行政代執行が行われないための対策は3つあります。

4-1、空き家の売却

空き家を売却することにより所有者が変更となります。そのため、新しい所有者である買主に空き家の修繕や解体の義務が移ります。

また、空き家の売却により現金を得ることもできますので一番おすすめしたい対策方法となります。

もしかすると、ぼろぼろの空き家で売却することができないのではと思うかもしれません。しかし、近年では子民家ブームも到来しています。そのため、ぼろぼろの空き家でも購入したいという人がいるかもしれません。

まずは、売却方法について不動産会社へ問い合わせてみましょう。

4-2、空き家の修繕

空き家を修繕することにより倒壊などの心配がなくなり行政代執行の対象外となります。修繕を行った空き家を賃貸として貸し出すことにより、安定した家賃収入を得ることができます。

また、別荘に使用したり将来的に自分で使用したりと幅も広がります。修繕した空き家を売却してもよいでしょう。

4-3、空き家の解体

空き家を事前に解体することにより行政代執行による解体は行われることがなくなります。しかし、事前に空き家を解体することと、行政代執行による解体に違いはあるのでしょうか?

実は、事前に解体することにより行政代執行より解体費が安く済むのです。その理由は二つあります。

4-3-1、解体業者を選択できる

行政代執行では、行政が解体業者を選択します。そのため、解体業者を選択することはできずに請求された金額を支払うしかありません。

しかし、事前に解体する場合には自分で解体業者を選択することができます。まずは、複数の解体業者より解体の見積もりを取りましょう。

そして、解体費用の安い業者へ解体を依頼することにより、行政代執行で請求される金額より安く解体を行うことができるはずです。

4-3-2、解体助成金を利用できる

自治体によっては空き家の解体時に助成金を利用できる自治体があります。しかし、助成金を利用できる自治体でも行政代執行時には使用することができないといった自治体もあります。

そのため、このような自治体の場合には行政代執行が行われる前に空き家の解体工事を行い、助成金を利用した方が解体費用の負担が少なくなるのです。

空き家の解体後は更地となります。更地を駐車場などとして使用することもできます。また、更地として売却することもよいでしょう。

行政代執行のまとめ

行政代執行とは行政による強制的な空き家の解体のことです。行政代執行の際にかかった解体費用は所有者負担となり、行政より解体費用の請求があります。

そのため、行政代執行の前に対策を行う必要があります。対策方法は「売却・修繕・解体」の3つがあります。

修繕や解体では高額な費用が発生することもあります。そのため、費用の捻出が難しい場合には売却を行った方がよいでしょう。

また、将来的に空き家や土地を使用する予定があるならば修繕や解体で対応した方がよいです。

しかし、将来的に使用する予定がないならば売却する方がよいです。売却することにより、修繕・解体の義務がなくなり、現金を得ることもできるのです。

いずれの対策方法にしても事前に不動産会社へ相談するようにしましょう。不動産会社に相談することによりどの方法を行った方がよいかアドバイスをもらうことができるはずです。