こんにちは、宅地建物取引士の宅男です。

今日は、近隣トラブルのためにマンションを売却したいというあなたに是非とも見て欲しい話をします。

あなたは、下記のような不安を抱いてはいませんか?

  • 売却時は近隣トラブルについて話さないといけないのか?
  • 近隣トラブルを告知しないまま売却してしまうとどうなってしまうのか?
  • 近隣トラブルにより、マンションの価値が下がってしまうのではないか?

このような不安を取り除くために、一つずつ分かりやすく説明します。

まずは、告知義務とは何かについて説明します。

1、告知義務と瑕疵

不動産売却の際には、瑕疵(不動産のキズの状態)を売主が買主に告知する義務があります。
これは、買主が不動産を買い取ったあとに瑕疵のために使用できないという状態を防ぐために行われています。
瑕疵には、目に見える瑕疵と目に見えない瑕疵に分けられ、4つの瑕疵に分けられます。

  • 物理的瑕疵…水漏れやシロアリなど建物が直接被害を受けている瑕疵
  • 法律的瑕疵…法律により、買主が取得した不動産の使用が制限されてしまう瑕疵
  • 心理的瑕疵…買主が不動産を使用したくないと思う心理的な瑕疵
  • 環境的瑕疵…買主が取得した不動産の周りの環境に問題がある瑕疵

この中でも、マンションの近隣トラブルは心理的瑕疵と環境的瑕疵が当てはまります。
では、マンションの近隣トラブルについて具体的な例を出してみましょう。

2、マンションの近隣トラブルの具体例

  • 騒音トラブル
  • ゴミ捨てのマナーのトラブル
  • 人間関係の悪化によるトラブル
  • 生活時間の不一致によるトラブル
  • 暴力団事務所が近くにある、またはその予定
  • 火葬場・ゴミ処理場などが近くにある、またはその予定

代表的なもののみ取り上げました。
この他にも上げたらきりがない様々な近隣トラブルがあります。
これらの近隣トラブルはマンション売却の際に告知義務が必要な心理的瑕疵・環境的瑕疵に当てはまるのでしょうか?

3、近隣トラブルの告知義務

【告知義務に当てはまらない場合】

  • 所有者の変更により改善が可能であると考えられるもの
  • 客観的に見て、本人にしか近隣トラブルであるとわからないもの

例えば、ゴミの捨て方を注意した、注意されたために近隣の居住者とトラブルになったとしても、居住者が変更になることにより改善が見込めます。

また、音は人によって許容範囲が異なります。
そのため、子どもの足音などが近隣トラブルとなっていた場合も、入居者の変更により改善が見込めることがあるでしょう。

【告知義務に当てはまる場合】

  • 所有者が変更になっても改善が見込まれないもの
  • 近隣トラブルにより、暴言・暴力の被害を受けていたとき
  • 客観的に見て近隣トラブルであるとわかるもの

例えば、騒音などのトラブルにより、暴力などの実害を受けていたとします。
この場合には、所有者が変更したとしても、近隣に暴力を振るうような人がいるという事実は変更とならないために告知義務が発生します。

また、火葬場や暴力団事務所などが近くにある場合にも、客観的に見て嫌悪施設であることがわかります。

そのために告知義務が発生します。

おおよそはこのように分けられますが、告知義務に明確な規定はないのです。
そのため、これは告知しなくてもよいだろうと勝手に判断して、告知せずに不動産の売却を行う人がいます。

しかし、告知をせずにマンションを売却してしまったために裁判で起訴されてしまう可能性もあるのです。

4、告知義務違反による裁判事例

実際に、告知義務に違反したことによって損害賠償責任を負った判例をみてみましょう。

【H16.12.2 大阪高裁】

媒介業者の媒介により売主から居住目的に土地建物を買受けた買主が、隣人とのトラブルにより同建物に居住できなかったとして、売主及び媒介業者に対し、説明義務違反、不法行為による損害賠償を請求した事案について、売主及び媒介業者に説明義務違反があるとされ、不動産価値の減少分として売買価格の20%相当額の支払が命じられた。

【H7.8.29 東京地裁】

購入した土地の近隣に暴力団事務所が存することは隠れた瑕疵に当たるとして、買主が契約解除等を求めた事案において、契約解除等は認めなかったが売買金額の二割相当の損害賠償を認めた。

事例によっては、告知義務違反とならないという判例が出ている事例もあります。
しかし、告知義務に明確な規定がないためにどのような理由で起訴されるか分かりません。
また、損害賠償の判決を分ける線引きも明確ではありません。

損害賠償責任を負わないためにも、あなたが知っている近隣トラブルについては全て事前に告知しておいた方がよいでしょう。

5、近隣トラブルによる不動産価値の低下について

不動産の価値は需要と供給で決まります。
近隣トラブルを抱えた不動産を欲しいと思う人はあまりいないでしょう。

そのため、近隣トラブルによるマンションの売却の場合には、残念ながら相場より下がってしまうことが多々あります。
しかし、近隣トラブルを解決してから売れば、通常の価格で売ることもできるのです。

例えば、マンションでは、あまりにも酷い騒音の場合には、管理組合の決議によって部屋の使用を禁止することも、退去させることもできるのです。
自分からこのような行動を行うことは躊躇されるかもしれませんが、少しでもマンションが高く売れるようにこのような行動を起こしてくれる不動産会社もあります。

このように、近隣トラブルに強い不動産会社に依頼することにより、近隣トラブルが解決され売却時の不動産の価値が下がらないこともあるのです。

近隣トラブルによるマンション売却のまとめ

近隣トラブルによりマンションの売却を行うときは、その原因について告知義務があります。
近隣トラブルの原因により、買主の購買意識に影響を与えると思われるものは必ず告知して下さい。

また、告知義務にあたるかどうか分からないような近隣トラブルでも、起訴されてしまう可能性があります。
知っていることは些細なことでも全て告知して下さい。

近隣トラブルにより、マンションの価値は下がります。
しかしながら、近隣トラブルを解決することによりマンションの価値が正常な価格に戻ります。

近隣トラブルに強い不動産会社に相談して、トラブルの解決をはかってみることから始めてみましょう。