こんにちは、宅地建物取引士の宅男です。

さて、もう5月ですね。3月は転勤が多く、マンションの売買が一番行われる時期と言われています。

もしかしたら、マンション売却中のあなたは、3月の転勤シーズンに売れなかったと慌てているかもしれません。

しかし、本当に3月が一年で一番マンションの需要がある月なのでしょうか?他にもマンションの売買が多く行われる月はないのでしょうか?ここでは、マンションを売るべき時期について説明します。

1、マンションが売れやすい時期

マンションの売買が多く行われるのは3月と9月です。これは、決算の月の企業が多く、転勤によるマンションの売買が行われるためです。

しかし、売れやすいのかと言われればそうではありません。転勤により買い手は多いですが、その分売り手も多いです。そのため、売れやすさ自体は例月と比べてもさほど変わらないでしょう。

まして、今ではインターネットですぐにマンションの売却情報を閲覧できる時代です。マンションの購入を急いで行おうとする人が少ないのです。

以上のことより、マンションを売る月についてはあまり考えなくてもよいことが分かってもらえるはずです。

しかし、マンションを売却した方が良い時期というものは確かにあります。マンションを売却した方が良い時期、それは、今です。

2、マンションを今売却する理由

マンションの需要は景気と深い関わりがあります。バブル時代に、マンションが飛ぶように売れたのは記憶に残っている人も多いでしょう。それを踏まえた上で、マンションを今売却すべき理由は3つあります。

2-1、プチバブルを迎えているため

オリンピック開催を控え、マンションの需要が高まっています。特に都心部のマンションは、需要に押し上げられて価値が上がり続けています。

この現象を、不動産業界ではプチバブルと呼んでいます。プチバブルもバブルと同じようにいつかは弾けます。弾けてしまうと、マンションが余ってしまい売れにくくなってしまうでしょう。

そこで問題となるのがいつ弾けるかです。専門家の中でも、意見が分かれていますが、オリンピックの前後には、バブルが弾けてしまうと予測している人が多いです。

そのため、もし、マンションの高価売却を目指すならば、オリンピックが開催される2020年までには売却する必要があります。マンションの売却を検討しているならば、今から売却に向けて動くようにしましょう。

2-2、住宅ローンが低金利なため

マイナス金利の影響を受けて、住宅ローンが今までにないほど低金利になっています。また、銀行の融資の審査の基準も今までに比べると緩くなっています。

低金利で借りやすいという状況は、一般消費者の住宅ローンの使用を後押ししています。この状況をいい機会と考え、マンションの購入を検討している人が多いのです。

2-3、消費税増税のため

2019年10月に消費税の増税が予定されています。前回の消費税の増税時と同様に、マンション購入の駆け込み需要が見込まれます。

しかし、この駆け込み需要でも売れなかった場合にはどうなってしまうのでしょうか?消費税は10%となってしまうために、買い手としては実質的には値上げとなります。

値上がりしたマンションを購入したいと思う人はあまりいないでしょう。売主であるあなたは消費税値上がり分を、値下げという形で負担する必要が出てくるのです。

そのため、消費税の増税が行われるギリギリではなく、今の時期からマンションの売却に動き出した方がよいのです。

3、マンション売却による利益と損失

売却時期によって、マンションの売却に係る税金が変わることがあります。そのため、売却時期を調整する必要が出てくる場合もあります。

では、実際にマンションの売却によって出た利益、損失をどのように計算するのか考えてみましょう。

マンションの売却によって出た利益、損失を、「譲渡所得」と言います。次の計算式で求められます。

【譲渡所得】

譲渡所得=売却価格-(取得費用+売却費用)

売却価格 マンションの売却によって得た金額
取得費用 マンションの購入のためにかかった費用

(マンション代、購入の際の仲介手数料、登記費用など)

売却費用 マンションの売却の際にかかった費用

(売却の際の仲介手数料、印紙代など)

ここでいう、取得費用というのはマンションの現在の価値のものです。パソコンなど、古いものはどんどん価値がなくなっていきますよね?

マンションでも古くなると価値がなくなるものと考えられます。この考え方を「減価償却」といい、マンションの取得費用より「減価償却費」として差し引きます。

この時、減価償却を行えるのはマンションの建物のみです。土地は、古くならないために減価償却を行えません。

【減価償却費】

減価償却費=購入価格×0.9×償却率×築年数

鉄筋コンクリートのマンションは税法上47年で価値がゼロになるのと考えられています。したがって、償却率は2.2%となります。1年ごとにマンションの価値が2.2%下がると考えるのです。

では、計算例で取得費用の計算をしてみましょう。

【取得費用の計算例】

  • 建物…2,000万円
  • 土地…2,000万円
  • 売却時期…新築から10年後

建物の減価償却費=2,000万円×0.9×2.2%×10年=396万円

建物の取得費用=2,000万円-396万円=1,604万円

建物の2,000万円より、減価償却費396万円を引き、10年後の建物の価値は1,604万円となります。

また、土地は減価償却を行えませんので取得費用はそのまま2,000万円となります。

1,604万円+2,000万円=3,604万円

建物の取得費用である1,604万円と、土地の取得費用である2,000万円を足して、現在の取得費用は3,604万円となります。

取得費用が分かれば、譲渡所得の計算は難しくないはずです。次は、早期売却による譲渡所得の控除について説明します。

4、マンションを早く売却すべき理由

マンションを早く売却することにより、譲渡所得より控除を受けることができます。また、その他にも早期売却による恩恵を受けることができる場合もあります。

あなたのマンションが以下の条件に当てはまるならば、マンションの売却を急いだ方がよいでしょう。

4-1、マイホーム特例

これは、譲渡所得から3,000万円を差し引くという控除になります。つまり、譲渡所得が3,000万円以下ならば、マンションの売却による利益に税金がかからないのです。

しかし、この控除を利用するには、以下の条件に当てはまる必要があります。

  • 所有者が自ら居住していた家屋を譲渡すること
  • 居住しなくなった日から3年目の年の12月31日までに家屋を譲渡すること
  • 確定申告を行うこと

このように、マイホーム特例による3,000万円控除を使用するには、期間内に売却する必要があります。

4-2、相続税の申告期限と取得費の特例

相続税には申告の期限があります。それは、「相続のあったことを知った日から10ヶ月以内」です。

ここでいう、申告とは相続税の納付までのことを言います。また、相続税は現金で納付する必要があります。つまり、10ヶ月以内に相続税を現金で納付しなければならないのです。

もし、現金をあまり相続していないにも関わらず、マンションを相続した場合には、10ヶ月以内にマンションを売却し、相続税を現金で納付する必要があるでしょう。

また、相続したマンションを売却した際には、「3、マンション売却による利益と損失」で説明したように、譲渡所得に対し税金がかかります。

しかし、相続開始から3年10ヶ月以内にマンションを売却できた場合には、譲渡所得より相続税の金額を経費として差し引くことができます。

これを、「取得費加算の特例」と言います。取得費加算の特例を使用することにより、マンションの売却に係る税金を節税することができます。

4-3、需要の減少

マンションの需要は、周辺施設によって決まります。例えば、駅や大型スーパーが周辺にあれば便利なために需要が上がります。その結果、マンションは売れやすくなり、マンションの売却価格は値上がりします。

しかし、逆に廃駅になったり大型スーパーが閉店になったりした場合は、どうでしょうか?マンションは売れにくくなってしまい、マンションの売却価格は値下がりしてしまうでしょう。

もし、このように廃駅や大型スーパーの閉店情報が耳に入ったならば、マンションが値下がりする前に急いで売却するようにしましょう。

5、マンションの売却を待つべき理由

マンションを長く持つことにより、譲渡所得の税率が軽減されます。また、その他にもマンションの売却を待った方がよい場合があります。

5-1、譲渡所得と所有期間による税金

所有期間により、譲渡所得にかかる税率が変わってきます。

所有期間が5年を超える場合、「長期譲渡所得」と言います。「長期譲渡所得」でも、所有期間が10年を超えた場合には、さらに「10年超所有軽減税率の特例」を使用することもできます。また、5年以下の場合には、「短期譲渡所得」と言います。

それぞれの税率は以下の通りです。

所有期間
 短期譲渡所得 長期譲渡所得
期間 5年以下 期間 5年超 10年超
所有軽減税率の特例
税率 39.63%
(所得税30.63%・住民税9%)
税率 20.315%
(所得税15.315%・住民税5%)
課税譲渡所得6,000万円以下の部分14.21%
(所得税10.21%・住民税4%)

譲渡所得が5,000万円だった場合を考えて計算してみます。

  • 短期譲渡所得・5,000万円×39.63%=1,981.5万円
  • 長期譲渡所得・5,000万円×20.315%=1,015.75万円
  • 10年超所有軽減税率の特例・5,000万円×14.21%=710.5万円

このように、所有期間によって譲渡所得にかかる税率が大きく異なり、税金の金額も大きく変動します。

尚、譲渡した年の1月1日現在において、所有期間が5年以下か5年を超えるかにより判断します。そのため、取得してから実際に5年経っていたとしても、「短期譲渡所得」と見なされることがあります。この場合、長期譲渡所得の税率を適用したいならば、来年の1月1日まで売却を待つようにしましょう。

5-2、譲渡損失の損益通算

マンションを売却した場合、譲渡所得が必ずしもプラスになるとは限りません。譲渡所得がマイナスとなってしまい、譲渡損失となってしまうこともあります。

このような場合には、「譲渡損失の損益通算」を使用することができます。

これは、住宅ローンが残っており、かつ売却損が出た場合、この売却損を一定の限度でその年の他の所得から差し引くことができ、その年に差し引きしきれなかった金額については翌年以降3年間繰り越して控除できるという制度です。

年収500万円の人が2,000万円の譲渡損失を出してしまった場合を考えてみましょう。

1年目…500万円-2,000万円=-1,500万円

1年目は、年収から譲渡損失を差し引いた結果、-1,500万円となりました。そのため、給与所得には、所得税・住民税が課税されません。また、3年間繰り越して控除できるために2年目以降は下記のとおりとなります。

2年目…500万円-1,500万円=-1,000万円
3年目…500万円-1,000万円=-500万円
4年目…500万円-500万円=0円

つまり、4年目まで給与に対し、所得税・住民税が課税されなくなるのです。

「譲渡損失の損益通算」を使用することにより、譲渡損失が出てしまった場合でも税金の控除を受けることができるのです。

しかし、譲渡損失の損益通算も「5年を超えて保有する」ことが条件となっています。所有期間が5年以下の場合には、売却を待つようにしましょう。

5-3、引越しとの兼ね合い

マンションの契約から引渡しまで、おおよそ1ヶ月程度で行うことが多いです。そのため、あなたはマンションから1ヶ月以内に立ち退く必要があります。

もし、引渡しができないときには、買主がマンションを使用できないことによる賠償責任を全てあなたが負わなければなりません。また、契約自体が解除となってしまう可能性もあります。

1ヶ月以内に引越しができる目処が立たない場合には、マンションの売却を一度待った方がよいでしょう。そして、いつでも引越すことができる準備ができたならば、改めてマンションの売却を行うようにしましょう。

5-4、需要の増加

「4-3、需要の減少」で説明したとおり、周辺施設によってマンションの需要と売却価格は変動します。

「4-3、需要の減少」とは逆に近隣に、駅や大型スーパーが開店したならばマンションの需要は上がり、マンションの売却価格は値上がりするでしょう。

そのため、このような情報を耳にした際には、マンションの売却を一度待つようにしましょう。そして、需要が高まってからマンションを売却するようにしましょう。

6、マンション売却の特例について

マンションを売却した際に使用できる特例は、「マイホーム特例」や「10年超所有軽減税率の特例」の他にも様々あります。

これらの特例は、重複できる場合と重複できない場合があります。

例えば、「マイホーム特例」と「住宅ローン控除」は重複して使用することはできません。

住宅ローン控除

毎年末の住宅ローンの残高の1%の額が、10年間にわたって所得税から控除される制度。

このような場合には、どちらの制度を利用するかあなたが選択しなければなりません。しかし、一般消費者ではどちらの制度が徳をするのか計算するのは難しいでしょう。

そのため、マンション売却の際にはこのような特例についても不動産会社へ確認を行うようにしましょう。計算をして、あなたの場合にはどの特例を使用するべきか教えてくれるはずです。

7、マンションを売却するベストな時期

マンションの売却は今すぐに行なった方がよいと、「2、マンションを今売却する理由」で説明しました。その中でも、築10年〜築12年程度のマンションは、特に今すぐ売却するのがベストな時期のマンションです。

理由は三つあります。

  • 10年超所有軽減税率の特例が使用できる
  • 築10年程度までが需要が多い
  • 築12年を超えると住宅ローンが組めない人がいる

「3、築12年を超えると住宅ローンが組めない人がいる」について説明します。

「フラット35」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。この35という数字は、最長の住宅ローンの返済期間である35年を示しています。

「3、マンション売却による利益と損失」で説明したとおり、鉄筋コンクリートのマンションは税法上の法定耐用年数は47年となっています。

築12年を超えたマンションの場合に、35年の最長返済期間の住宅ローンを組むと法定耐用年数である47年を超えてしまいます。そのため、築12年を超えてしまうと35年の住宅ローンを組むことができなくなっているのです。

  • 47年(鉄筋コンクリートのマンションの法定耐用年数)−35年(住宅ローンの最長返済期間)=12年

以上の理由により、築10年〜築12年程度のマンションは、まさに今が売り時と言うことができるでしょう。

マンションの売却時期のまとめ

 

マンションの売却に最適な時期は今です。その理由は三つあります。

  • プチバブルのため
  • 住宅ローンが低金利なため
  • 消費税増税のため

その他にも、今すぐマンションを売却して欲しい場合があります。特に、売り出してからもう直ぐ3年経ちそうならば、マンションの売却価格を値下げしてでも売却すべきです。

なぜならば、マイホーム特例などは居住しなくなった日から3年目の年の12月31日までにマンションを売却しなければ、特例を使用できないからです。

また、必ずしも急いで売却することが特にならない場合もあります。特に、もうすぐ所有期間が5年を超えるという場合は、5年を超えることにより様々な特例を受けることができるため、マンションの売却を待った方がよいでしょう。

あなたが、どのパターンに該当し、どのように行動した方がいいのか、不動産会社に相談することから始めてみましょう。