こんにちは、宅地建物取引士の宅男です。

さて、不動産を所有しているならば毎年固定資産税の支払い義務があります。あなたが、空き家を相続し、空き家の名義変更である相続登記が完了しているならばあなたが固定資産税を支払わなければなりません。

しかし、相続登記はいつまでに行わなければならないといった決まりはありません。そのため、空き家を相続したものの未だに空き家が親の名義になったままという空き家も珍しくありません。

このようなケースの場合には誰が固定資産税を支払わなければならないのでしょうか?もしかするとすでに固定資産税を滞納しているといったこともあるのでしょうか?

ここでは、固定資産税に関することについて説明します。

1、相続した空き家の固定資産税納税者について

冒頭でお話しした、名義が親のままの空き家の場合でも相続人に固定資産税の納税義務が発生します。

相続というのは、プラスの財産だけではなくマイナスの財産も相続しなければなりません。

固定資産税の支払いというマイナスの財産も相続人が引き継ぐこととなるのです。

もし、親が固定資産税の支払いを数年滞納していた場合にはそれも支払わなければならないのです。

しかし、空き家を相続したにも関わらず固定資産税の納付書が送られてきたことがないといった人もいるでしょう。

複数の相続人がいる場合には、行政が勝手に固定資産税の納付者を決めて他の相続人に納付書が送付しているのです。そのため、相続税の納付書が送られてこないのです。

このような場合には必ず他の相続人に固定資産税の支払いについて確認を行うようにしましょう。もしかすると納付書が送られてきている相続人が支払っておらず、固定資産税を滞納している可能性もあるのです。

では、固定資産税を滞納してしまうとどうなってしまうのでしょうか?

2、固定資産税を滞納したときに行われること

固定資産税を滞納した場合には預貯金や給与の差し押さえによる強制徴収が行われます。

しかし、いきなり強制徴収が行われる訳ではありません。

2-1、督促状の発送

まずは、役所より督促状が送られてきます。

法律により納期限を過ぎても税金の支払いがない場合、役所は20日以内に督促状を送付しなければならないと定められています。

そのため、納期限後すぐに督促状が送られてくるでしょう。また、督促状は「発送した日から10日を経過するまでに滞納が解消できない場合は、滞納者の財産を差し押さえなければならない」と法律により定められています。

すぐに差し押さえが行われることは少ないですが、督促状の発送によりいつでも財産の差し押さえを行うことが可能となるのです。

そのため、もし、期限内に固定資産税の納付が難しい場合には必ず役所へ連絡するようにしましょう。固定資産税の分割での納付など相談ができることが多いです。

2-2、催告書の発送

督促状が送られてきているにも関わらず無視を続けていると催告書が発送されます。

督促状と催告書の中身の違いはさほどありません。しかし、催告書の方が厳しい文書となっており最終勧告として行われることもあります。

また、内容証明郵便として発送されるために、「受け取っていない」、「郵送されていない」といった態度を取ることもできません。

2-3、財産調査が行われる

催告書も無視をするといよいよ差し押さえの準備に入ります。

強制徴収を行える資産がないか調査が行われるのです。これを「財産調査」と言います。

財産調査の対象となるのは下記のような資産です。

  • 給与
  • 預貯金
  • 不動産
  • 動産
  • 積立保険金
  • 貴金属
  • 有価証券 など

2-4、差し押さえ

財産調査が完了すると差し押さえが行われます。

まずは、給与や預貯金から差し押さえされるために、給与や預貯金で全額支払うことができれば他のものが差し押さえられることはありません。

しかし、給与や預貯金で補うことができなかった場合には他のものも差し押さえの対象となります。もし、所有している空き家が差し押さえの対象となってしまった場合には競売により強制的に売却されてしまいます。

競売では、相場より安い金額でしか空き家を売却できません。その結果、損をしてしまうことは間違えないでしょう。

また、固定資産税を滞納すると延滞金もかかります。そのため、固定資産税を滞納せずに支払うことが重要となります。

3、固定資産税の金額について

では、具体的に空き家を所有している際に発生する固定資産税の額を計算してみましょう。

市町村によっては税率が変わることもありますが、一般的な税率で計算します。

固定資産税額の計算では、購入金額ではなく「課税標準額」を使用します。

【空き家の固定資産税の計算例】

  • 土地の課税標準額…5,000万円
  • 土地の面積…150平米
  • 建物の課税標準額…1,000万円

空き家が建っている土地であれば、住宅用地の特例による優遇税率を使用することができます。住宅用地の特例による税率、その他の税率は以下の通りです。

状 態 固定資産税の額
通常の固定資産税 建物や住宅用地以外の土地 課税標準の1.4%
小規模住宅用地 住宅1戸につき200平米まで 課税標準×1/6
一般住宅用地 住宅1戸につき200平米を超えた部分 課税標準×1/3

以上の税率を課税標準額にかけることにより固定資産税の額が計算できます。

土地の固定資産税=5,000万円×1.4%×1/6=約11.7万円
建物の固定資産税=1,000万円×1.4%=14万円
土地、建物の固定資産税=約11.7万円+14万円=約25.7万円

以上の計算より、空き家を所有することにより年間で約25.7万円もの固定資産税を支払わなければならないことがわかります。

もし、倒壊の恐れがあるなど周辺に被害を及ぼす恐れがある空き家の場合、特定空き家として指定されると住宅用地の特例外となってしまうためにさらに固定資産税が値上がりします。

土地の固定資産税=5,000万円×1.4%=70万円
建物の固定資産税=1,000万円×1.4%=14万円
土地、建物の固定資産税=約11.7万円+14万円=84万円

特定空き家を所有しているだけで、固定資産税を1年で84万円も支払わなければならないのです。

では、毎年の固定資産税の支払い義務をなくすためにはどうすればよいのでしょうか?

4、空き家をすぐに売却しよう

毎年の固定資産税の支払い義務をなくすには空き家を売却して空き家の所有者の変更を行うしかありません。

空き家の所有者が変更することにより空き家の納税者も変更となるのです。

そのため、固定資産税の支払いで損をしないように、空き家の売却をすぐに行うようにしましょう。

また、固定資産税の支払い以外にも空き家の売却が遅くなってしまうことによるデメリットはあります。

それは、空き家が劣化してしまうということです。

空き家が劣化してしまうと空き家の資産価値も下がります。その結果、空き家の売却金額もどんどん下がってしまうのです。

空き家の固定資産税のまとめ

空き家を相続した場合には、固定資産税の支払い義務まで相続します。

課税標準額が高額な空き家を相続した場合には、毎年高額な固定資産税を納付しなければならないのです。

固定資産税の支払いが高額なため家計を圧迫している人もいるでしょう。もし、固定資産税の支払いを滞納してしまうと財産の差し押さえが行われてしまいます。

そのため、そのような事態に陥る前にすぐに空き家を売却するようにしましょう。

売却することにより固定資産税の納税者が変更となります。その結果、固定資産税の支払いによる損をすることがなくなるのです。

また、空き家の早期売却により空き家が劣化して売却金額が下がることも防ぐこともできます。