こんにちは、宅地建物取引士の宅男です。

さて、マンションに住んでいる人ならば必ず修繕積立金を支払っているはずです。あなたは修繕積立金が何に使われているか知っていますか?

修繕積立金という名の通り修繕に使われています。今、修繕積立金が問題となっています。それは、マンションの修繕積立金の積立額が不足しているという問題です。

このままでは多くのマンションが将来の修繕に備えることができません。そのため、修繕積立金の値上げが行われているのです。

しかし、修繕積立金の値上げの基準はどのように決められているのでしょうか?また、値上げにより修繕積立金が支払えない場合にはどうなってしまうのでしょうか?

ここでは、修繕積立金に関することをあなたにお伝えします。

1、修繕積立金の目的について

冒頭でお話ししたとおり修繕積立金はマンションの修繕のために使用されます。具体的な修繕の例は以下のとおりです。

  • 大規模修繕工事
  • エレベーター更新工事
  • 受水槽更新工事
  • 直結水道工事
  • 駐輪場・駐車場設置 など

いずれも、数百万円〜数千万円かかる工事になります。もし、定期的に修繕積立金を積み立ててなければどうなってしまうでしょうか?

積立金がない場合には、工事を行う際にマンションの所有者から工事金額を徴収することとなります。このときに徴収する金額は、数十万円〜数百万円になるでしょう。

いきなり工事費用を支払えない人もいるでしょう。もし、支払えない人がいた場合には修繕工事を行うことができません。その結果、修繕を行うことができずに資産価値が減ったマンションになってしまいます。

このように、工事の際に多額の金額を所有者より徴収しなくてもよいように、毎月修繕積立金を徴収し積み立てているのです。

2、修繕積立金の金額について

修繕積立金の金額は、長期修繕計画に基づき決められています。長期修繕計画とは10年〜30年程度で行うべき修繕工事と金額を予め予定したものです。

例えば、大規模修繕工事を10年後に1,000万円で、エレベーターリニューアル工事を20年後に1,000万円で行おうという計画になります。

この計画を例とすると、10年後には大規模修繕工事費用として最低1,000万円の修繕積立金が必要となります。今のままの修繕積立金では1,000万円を積み立てることができないというマンションもあるでしょう。このようなときに、修繕積立金の値上げが行われるのです。

しかし、値上げされた修繕積立金は適切な金額なのでしょうか?修繕積立金の相場は国土交通相より「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で発表されています。

建物の階数/建築延床面積 平均値 事例の3分の2が包含される幅
【15階未満】 5,000㎡未満 218円/㎡・月 165円~250円/㎡・月
5,000~10,000㎡ 202円/㎡・月 140円~265円/㎡・月
10,000㎡以上 178円/㎡・月 135円~220円/㎡・月
【20階以上】 206円/㎡・月 170円~245円/㎡・月

【算出式】

Y=AX(+B)

  • Y:修繕積立金の目安
  • A:専有床面積当たりの修繕積立金の額
  • X:マンションの専有床面積(㎡)
  • (B:機械式駐車場がある場合の加算額)

例えば、延床面積5,000㎡のマンションで50㎡の1室を所有している場合を考えてみましょう。

この場合の修繕積立金の平均値は、10,100円(202円×50㎡)となります。また、事例の3分の2が包含される幅は7,000円~13,250円(140円~265円×50㎡)となります。

機械式駐車場があるマンションの場合には、機械式駐車場のメンテナンス代や修繕費用がかかります。そのため、その費用を修繕積立金に加えます。

この範囲に収まっている場合には、適切な修繕積立金の金額と言うことができるでしょう。

もし、修繕積立金の金額がこの範囲より安い場合には、これからさらに修繕積立金の値上げが必要となることが予想されます。

また、修繕積立金の金額がこの範囲より高い場合には、修繕積立金が枯渇している可能性が高いです。そのため、この場合にもさらに修繕積立金の値上げが行われる可能性があります。

3、修繕積立金の値上げについて

長期修繕計画により適切な修繕積立金の金額にしたとしても安心できません。適切な金額な場合でも値上げが続くことがあります。なぜ、修繕積立金の値上げが続くのでしょうか?その理由は3つあります。

3-1、長期修繕計画の見積もりが甘いため

長期修繕計画では何年後にこの工事を行おうと決めた上で計画します。しかし、この見積もりが甘いときがあります。

例えば、大規模修繕工事であれば通常は12年〜15年に1回行うべきです。これにも関わらず大規模修繕工事を20年後と計画したとします。

20年後に合わせて修繕積立金の金額を決定していれば、長期修繕計画を変更し12年〜15年で大規模修繕工事を行おうとした際には積立金が足りないでしょう。そのため、修繕積立金の値上げが必要となるのです。

3-2、工事代金が値上がりしているため

長期修繕計画はあくまで現在工事を行った際にかかるであろう金額を見積もって計画しています。しかし、オリンピックを控えて職人が足りなかったり、材料が足りなかったりと工事費が値上がりしています。

今1,000万円かかると見積もっている工事でも、5年後には1,500万円となってしまう可能性もあります。このように、工事費の値上がりに伴い、修繕積立金の値上げも必要となってしまうのです。

3-3、築年数に伴い修繕工事が多く必要となるため

人間は歳を取ると体の悪い箇所が多くなり、医療費がかさむようになります。マンションも同じです。マンションも築年数に伴い修繕工事が多くなります。

長期修繕計画で予定していない工事も多く行う必要も出てきます。もし、修繕工事のために1,000万円貯める計画であったとしても、予定していない工事を行ったために1,000万円を貯めることができないというケースも出てきます。

このような場合には、1,000万円に足りない金額をどこからか補填しなければなりません。補填先を考えると、やはり所有者からの徴収しかありません。そのため、修繕積立金を値上げして、計画に足りない金額を補填するのです。

4、修繕積立金が支払えない場合について

修繕積立金が何倍も値上げされるということも珍しくありません。値上げされた結果、修繕積立金が生活を圧迫することもあります。

もし、修繕積立金を滞納してしまうとどうなってしまうのでしょうか?まず、修繕積立金を3ヶ月程度滞納してしまうと内容証明郵便を送られてくることが多いようです。

内容証明書郵便には法的効力は何もありません。しかし、法的効力が何もないからと滞納を続けていくと6ヶ月の滞納で少額訴訟の手続きを取られてしまうこともあります。

少額訴訟の手続き後は強制執行により、滞納金を徴収されます。この際に、資金がなく支払えない場合には、管理組合によってマンションが競売にかけられてしまうこともあります。そして、マンションから退去しなければならないのです。

そのため、修繕積立金を長期間滞納することは避けなければなりません。もし、一時的に修繕積立金が支払えないならば、金融機関や親戚にお願いして借りるのもよいでしょう。

しかし、一度値上げされた修繕積立金が値下げされることはありません。また、さらに値上げする可能性もあります。

もし、慢性的に修繕積立金の支払いが難しいようであれば、マンションを売却してしまい、修繕積立金を支払うことができるマンションへ引っ越した方がよいでしょう。

5、修繕積立金の経費計上について

修繕積立金はマンションの所有者が支払わなければなりません。そのため、賃貸で分譲マンションを貸している場合には貸主に支払い義務があります。

しかし、工事費用を経費計上するには、工事後の支払いと同時に経費計上しなければならないのが原則です。修繕積立金はどのように経費計上することができるのでしょうか?

修繕積立金は以下に該当したときだけ毎月経費計上できることが認められています。

  • マンション等の所有者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負うこと
  • 管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、マンション等の所有者への返還義務を有しないこと
  • 修繕積立金は、将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されないこと
  • 修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づきマンション等の所有者の共有持分に応じて合理的な方法により算出されていること

通常のマンションであれば、これらの項目を全て満たすことができます。そのため、修繕積立金を毎月経費計上することができます。投資用マンションとして毎月安定した収入を確保することができるでしょう。

修繕積立金のまとめ

修繕積立金は、将来考えられるであろう修繕工事に備えるために積み立てられています。しかし、長期修繕計画の見積もりの甘さや工事費用の値上がりによる修繕積立金の値上がりが問題となっています。

もし、修繕積立金が相場より安かったり、修繕積立金が枯渇している場合にはこれから修繕積立金が値上がりしてしまう可能性が高いでしょう。修繕積立金が値上がりしてしまうと、生活を圧迫してしまうこともあります。

また、マンションを売却するにしても修繕積立金が高いためにマンションが売れない、売却価格が安くなってしまうということも考えられます。

そのため、マンションを売却するならば修繕積立金の値上がり前に売却する必要があります。長期修繕計画を確認し、修繕積立金が値上がりする前に売却へ向けて行動するようにしましょう。