こんにちわ、宅地建物取引士の宅男です。あなたが売却したい不動産に以下の項目が該当するということはないでしょうか?

  • 雨漏り
  • シロアリ
  • 耐震強度が低い
  • 石綿(アスベスト)の使用
  • 地盤が緩い
  • 自殺、他殺

これらは全て「訳あり物件」であり、「事故物件」に該当します。事故物件というと、自殺、他殺のイメージが強いですが、何らかの理由により不動産が通常の使用が難しいものは事故物件に含まれるのです。

では、事故物件の売却価格はどうなるのでしょうか?訳あり商品がスーパーで安く売られているように、事故物件も、相場より安く売却する必要がでてくることがあります。

「こんな問題なかったはずなのに」あなたが不動産を購入した際は該当しなかったかもしれません。

しかし、スーパーで「形が不揃い」、「キズがある」など訳あり商品の安い理由を告知しているように、あなたが不動産を売却するときには、買主に「訳あり」について理由を伝えなければなりません。

これを、「告知義務」と言います。もし、告知せずに不動産を売却してしまったら、買主が不動産を使用できないために、損害賠償責任を負わなければなりません。

「でも、伝えてしまったら不動産が売れないのでは?」安心して下さい、訳あり商品が売れるように、事故物件でも売れない不動産はありません。大切なのは売り方です。あなたが安心できる情報を戸建の場合とマンションの場合に分けてお教えします。

また、事故物件でも不動産の売却価格をできるだけ下げずに売却する方法も合わせてお教えします。

1、雨漏りしている不動産の売却方法

1-1、戸建の場合

雨漏りしている戸建の売却の場合には新築引き渡し後10年以内の場合と、10年を超える場合によって対応が変わってきます。

1-1-1、新築引き渡し後10年以内の戸建の場合

新築引き渡し後10年以内ならば「品確法」が適応できます。品確法とは、新築物件の瑕疵担保期間の10年義務化のことです。つまり、10年間は新築物件の責任を工務店、または不動産業者が負って下さいという法律です。

品確法の適応となる建物の部分に「雨水の浸入を防止する部分」とあります。そのため、無償で雨漏りを修理してもらうことができます。

その後、不動産を売却することにより正常な価格で売ることができるでしょう。

1-1-2、新築引き渡し後10年超えの戸建の場合

新築引き渡し後10年を超えた場合には、売主が雨漏り復旧費用を負担する必要があります。そのため、雨漏りする不動産を売却する場合には、基本的に以下のいずれかの方法を取ることとなります。

  • 雨漏りを修理した後、不動産を売却する
  • 雨漏り修理にかかる費用を不動産売却価格より差し引いて売却する

しかし、築年数が経っている戸建の場合、戸建の不動産の価値より、雨漏り修理の方がかかってしまうことがあります。これでは、本末転倒です。

このような場合には、建物付き土地として土地をメインに売り出した方がよいでしょう。

建物付き土地として売り出して、買主が建物が気にいった場合には、買主に補修をしてもらってそのまま使ってもらうこともできます。

気にいらなかった場合のみ、解体費を差し引いて売却すればよいのです。買主の選択の幅が広がるのです。

1-2、マンションの場合

マンションの雨漏りの原因として多いのが、屋上の防水層の劣化、または階上のバルコニーの防水層の劣化です。

しかし、マンションの屋上、バルコニーというのは誰の所有物になるのでしょうか?それは、マンション全員の所有物となります。

そのため、雨漏り箇所の修理はマンションの管理組合(マンション所有者全員で構成される組合)が行います。このようなときのために、毎月管理費などを払っているのです。

遠慮せずに、マンションの理事長、または管理会社に相談して修理してもらいましょう。修理してもらうことにより、マンションは価値が落ちることなく売却できるようになります。

2、シロアリの被害を受けている不動産の売却方法

2-1、戸建の場合

シロアリ被害を受けている戸建の場合も、売却方法は雨漏りの場合と同じように、以下の3つとなります。

  • シロアリ駆除・被害箇所の復旧を行なってから売却する
  • シロアリ駆除・被害箇所の復旧費用を売買価格から差し引く
  • シロアリ駆除・被害箇所の復旧費用が建物の価値を上回る場合には、建物付き土地として売り出す

シロアリによる被害の場合には、品確法の対象外となっています。そのため、被害箇所は全て自分の責任となってしまうことに注意が必要です。

2-2、マンションの場合

マンションの場合も雨漏りの場合と同じです。シロアリの被害を受けた場合には、シロアリを発生させるような環境下にありながら、対策をおろそかにしたためにシロアリが発生したと考えられます。

そのため、マンションの管理組合の復旧対象となります。こちらも被害を確認した際には、マンションの理事長、または、管理会社に相談し、シロアリの駆除・被害の復旧を行なってもらいましょう。

3、耐震強度に問題がある不動産の売却方法

耐震強度の問題については、マンションの場合も戸建の場合も同じですのでまとめて説明します。

まず始めに、売主に耐震強度を調べる義務はありません。不動産の取引について宅地建物取引業法にこのような記載があります。

「耐震診断がある場合はその内容について説明しなければならない」

つまり、重要なのは耐震診断の記録の有無なのです。

3-1、耐震診断の記録がある場合

耐震診断の記録がある場合にはその内容について買主に説明しなければなりません。その際、耐震強度に問題がなければ不動産の売却に問題はありません。しかし、耐震強度に問題がある場合、不動産の売却にどのような影響があるのでしょうか?

耐震強度に問題がある場合でも、不動産の売却は可能です。しかし、雨漏りやシロアリ被害の場合と同様に、耐震強度を問題ない強度まで補強するか、その工事にかかる費用を売却価格から差し引いて売却を行うようになります。

しかし、耐震強度に問題がある場合には耐震偽装を行なった施工の問題です。施工元、販売を行なった不動産会社に損害賠償責任があります。

耐震偽装事件といえば、「姉歯事件」が有名ではないでしょうか。簡単に「姉歯事件」について説明します。

「姉歯事件」…姉歯秀次元1級建築士が耐震性の基準となる構造計算書を偽装し、倒壊の危険があるマンションなどが建設、販売された事件。組織的犯罪として、マンションを企画・販売していた小嶋進ヒューザー元社長ら6人が起訴された。

このように、損害賠償責任は施工に関わった人達にあります。

しかし、「姉歯事件」では、施工主及び販売を行なった不動産会社が破産してしまったために充分な補償を受けることはできませんでした。

そのため、「姉歯事件」のように補償を充分に受けれないことがないように、「住宅瑕疵担保履行法」が実施されました。

「住宅瑕疵担保履行法」…新築住宅についての資料の確保を義務つけた法律

資力の確保のため、施工元、新築住宅の販売を行う不動産会社へ以下の2つのいずれか方法を義務つけられました。

  1. 保証金の供託
  2. 保険への加入

つまり、万が一に備えて、お金を預けるか保険に加入して新築住宅を売って下さいという法律です。もし、こちらの法律に該当する物件ならば、損害賠償責任を追求して破産してしまったとしても、充分な補償を受けることができるでしょう。

3-2、耐震診断の記録がない場合

耐震診断の記録がない場合には、買主に「旧耐震物件」「新耐震物件」か説明しなければなりません。

旧耐震物件か新耐震物件かは、建築確認申請がおりた時期によって分けられます。

「旧耐震物件」

  • 昭和56年6月1日以前に建築確認申請がおりた建物
  • 震度5程度の地震でも倒壊しないことを基準としている

「新耐震物件」

  • 昭和56年6月1日以降に建築確認申請がおりた建物
  • 比較的よく起きる中程度の地震では軽度なひび割れ程度、まれに起きる震度6〜7程度の地震では崩壊・倒壊しないことを基準としている

どちらの不動産が欲しいですか?もちろん新耐震基準に適応している不動産でしょう。しかも、旧耐震物件は築35年以上が経過しているものがほとんどです。

旧耐震物件は、耐震強度を上げるために補強工事を行なって売却するのではなく、そのまま旧耐震物件であることを伝えて値引きして売る方がよいでしょう。

4、石綿(アスベスト)を使用した不動産の売却方法

耐火や保温断熱を目的として建築物に使用されていました。しかし、空中に飛散した石綿繊維を長期間大量に吸入することにより、肺がんなどを引き起こすことが問題となり昭和50年に原則禁止となりました。

石綿は身体を害する恐れがあるために、石綿の使用調査の有無を不動産の売買の際に説明する義務があります。

石綿の使用調査の有無についても、戸建とマンションの場合と同じですのでまとめて説明します。

4-1、石綿の使用調査の記録がある場合

石綿の使用調査の記録がある場合には下記を説明する必要があります。

  • 調査の実施機関(調査会社等)
  • 調査の範囲
  • 調査の年月日
  • 石綿使用の有無及びその使用箇所

もし、石綿を使用していた場合は、買主がリフォームや解体を行う際に粉じんが撒き散らないように特殊な対応をする必要があり、通常より費用がかかってしまいます。そのため、不動産の売却価格が下がるのは避けられないでしょう。

しかし、石綿除去工事を行うことにより相場を下げることなく売却できます。石綿除去工事費用について、補助金が支給される地方自治体もあるようです。

まずは、地方自治体に補助金について問い合わせを行い、補助金の額と石綿除去工事費用を勘案して判断するのがよいでしょう。

4-2、石綿の使用調査の記録がない場合

耐震診断と同じように調査の義務化はされておらず、調査していなければ、調査していないと告知することにより告知義務は済んだと見なされます。

しかし、調査せずとも物件に石綿の使用の形跡が見られる場合には、知っていながら通知しなかったという、損害賠償責任が問われることがあります。

そのため、石綿の使用の形跡が見られる際にも、不動産の売却価格を下げるか、石綿除去工事を行う必要が出てきます。

5、地盤に問題がある不動産の売却方法

地盤の調査についても、耐震診断や石綿と同じように義務つけられていません。しかし、調査を行なっている場合にはやはり告知義務が発生します。

5-1、地盤調査を行なっている場合

地盤調査を行なっている場合には、その結果について告知しなければなりません。

もし、地盤に問題がある場合には、地盤改良工事を行うか、その費用を差し引いて売却を行います。

しかし、耐震偽装と同じように地盤に問題があるのは、施工主及び、販売を行なった不動産会社に責任があります。

近年では、「横浜傾斜マンション事件」が有名ではないでしょうか。

「横浜傾斜マンション事件」…「パークシティLaLa横浜」で手すりがずれているのが住民より発見された。三井不動産レジデンシャルが調査を行うと、傾いた棟にある計52本の杭のうち28本を調べたところ地盤の強固な支持層に達していない杭が6本、長さ不足の杭が2本あり、社内調査によると、地盤調査を行ったように装う虚偽データが作られていた。そのため、三井不動産レジデンシャルが全棟の建て替え費用300億円と、住民に対し100億円の補償を提示した。

「横浜傾斜マンション事件」では、建て替えとなりましたが、地盤改良工事を請求することももちろんできます。

地盤改良工事を行えば、不動産を値引きすることなく売却が可能となるでしょう。

5-2、地盤調査を行なっていない場合

地盤調査を行なっていない場合は、売主が地盤調査を行う義務はありませんので、「調査を行なっていない」と告知することにより、告知義務はなされたと見なされます。

しかし、東日本大震災の際に液状化したなど、地盤調査は行なっていないものの、地盤に問題があることを知っているにも関わらず告知しなかった場合には告知義務違反となりますので注意が必要です。

地盤に問題があることを知った場合は、調査した上で地盤改良工事を行うか、その費用を差し引くか選択する必要が出てきます。

6、自殺・他殺があった不動産の売却方法

事故物件の中でも、自殺、他殺があった不動産は使用上の問題はないでしょう。

しかし、不動産自体には何も問題はないとしても、自殺他殺があった物件は心理的問題により、あまり購入したいと思わないはずです。

これを、「心理的瑕疵」と言い、買主の購入の意思決定に影響を与えるために告知が必要になってきます。

購入したいと思う人が一般的な不動産よりも少なくなってしまうために、どうしても値下げして売らざるを得なくなってしまいます。

事件の規模、自殺・他殺などによって異なるものの相場より2割〜5割程度値下がりしてしまうことが多いようです。しかし、事故物件を全く気にせずに、安いからと狙って購入を行う人もいます。

このような人達の目に多く止まるようにするためにも、多くの不動産会社に売却を依頼した方がよいでしょう。

7、事故物件の売却の際に注意すること

事故物件の場合には不動産会社の選択が特に重要になってきます。特に、事故物件売却のノウハウを持った、事故物件の売却に強い業者を選ぶ必要があります。

なぜ事故物件に強い不動産会社を選ばなければならないのか?事故物件に強い不動産を選ぶにはどうしたらよいのか?

これらを解決できる不動産会社の選定方法について説明します。

7-1、なぜ事故物件に強い不動産会社を選ばなければならないのか?

事故物件に強い業者を選ばなけれならない理由は2つあります。

7-1-1、事故物件は不動産会社が取り扱いたがらないため

不動産会社は売買による仲介手数料で利益を上げています。この仲介手数料は売買価格が高ければ高いほど、仲介手数料も額が上がります。そのため、売買価格が低くなりやすい事故物件に対しては積極的に動いてくれないのです。

事故物件売却のノウハウが確立していない、事故物件に弱い不動産会社ならば、さらに動きが鈍くなってしまいます。

不動産会社が積極的に動いてくれるようになるためにも、ノウハウを持った事故物件に強い不動産会社に依頼することが望ましいのです。

7-1-2、告知義務の範囲が明確ではないため

告知義務の範囲は明確に決まっていません。例えば、自殺、他殺の場合には告知義務があります。

しかし、室内で亡くなったことに違いがないにも関わらず孤独死、病死の場合には告知義務はありません。

もし、あなたが購入した物件が孤独死、病死があった物件だと告知されずに、後から分かった場合はどうでしょうか?

損害賠償責任を追求したくはなりませんか?この場合は、告知義務ではなくても孤独死、病死について説明をしておくべきなのです。

事故物件に弱い不動産会社の場合は、告知に関するトラブルが多いです。トラブルに巻き込まれないために、告知について相談できる不動産会社を依頼しなければなりません。

7-2、事故物件に強い不動産を選ぶにはどうしたらよいのか?

事故物件に強い不動産会社とは、これまでに事故物件の取り扱いが多い不動産会社のことを言います。事故物件の取り扱いが多いため、高価売却に向けて様々な提案することができるのです。

これに対して、事故物件に弱い業者は事故物件の取り扱いが少ない不動産会社のことを言います。事故物件の取り扱いが少ないため、高価売却に向けた提案ができないのです。

でも、街の不動産会社を見ても、どこが事故物件に強いかなんて分からないですよね?そこでオススメしたいのが不動産一括査定です。

不動産一括査定とは、不動産一括査定サイトと提携している複数の不動産会社に、売却したい不動産の情報を送信し、複数の不動産会社より査定を行なってもらえるサイトのことです。

不動産一括査定サイトと提携している不動産会社の中には、事故物件に強い不動産会社もあります。
また、不動産の取り扱いの多い大手不動産会社も提携しています。

事故物件に強い不動産会社や大手不動産など、複数の不動産会社に事故物件の査定を取ってもらうことは、不動産一括査定しかできないことと言えるでしょう。

また、不動産一括査定サイトと提携できる不動産会社は優良な不動産会社のみです。したがって、売買後の損害賠償責任を追求されることが少なく、事故物件でも安心して相談することができます。

事故物件の売却のまとめ

事故物件の売却について大切なことをまとめてみました。

  1. 事故物件は、基本的に相場より安く売却する必要がある。
  2. 事故物件の訳ありについては買主に対して告知義務がある。
  3. 事故物件でも、問題を解決したり、補償を利用することにより相場どおりに売れるようになることがある。
  4. 事故物件の高価売却のためには、事故物件に強い不動産会社を選ぶ必要がある。

私も、事故物件を取り扱かったことがありますが、取り扱い方は不動産によって異なります。あくまで、ここで説明したことは事故物件売却の際の基本的な部分になります。物件によってはもっと良い売却方法がある場合もあるでしょう。

そのため、まずは不動産一括査定を利用して、事故物件に強い不動産会社を選択してみましょう。そして、一番良い売却方法について不動産会社と相談することから始めてみてはどうでしょうか。